□ 天空図

□ えっ天空図なのか

2003/05/23

平成15年1月1日施行の改正建築基準法で、建築物高さ規制に天空率という考え方が導入された。
ある点における全天空に対して当該建築物が占める割合を構造化率と言うとすれば、天空率は逆に空間率ということになる。これを図化したものが天空図と言うのだが、ちょうど魚眼レンズを天頂に向けて撮影した画と同じ様なものを表現できる。
これは別に新しい考え方ではなく、武井先生などは20数年も前から研究の中でこのような画を使用なさっているし、市販されている多くの日影図検討用のソフトには、半天空図、全天空図といった画の作成機能がある。

私も日影作成用ソフト?を書いているので当然、天空図についてはある程度認識してると思っていたが、此処へ来てごく基本的な疑問に突き当たったので後日の為に記しておく事にした。

先に結論から述べるが、あれは天空図ではないか若しくはこの国のお役人得意の造語としての天空図として定義されたものであるらしいという事なのだ。
仮想天球に投影されたものを水平面に正射影したもの、ここまではごく普通だと思うが..不幸にも本稿を読む機会を得られたあなたは星図や星座盤といったものをご覧になった事があるだろうか..あれが本来天空図というものなのだ。最近建築基準法の天空図について解説している複数の書籍を読んでみた所、何処か違和感がある。しばらく考えてやっとわかった、それらに描かれていたのは天空図でなく天空伏図だったのだ。
建築でいうところの見上図というのは、実は見上げているのではなく透過見下げている(天井伏図や梁伏図)、まさにその見上図として描かれた天空図であった。あのJWWが出力してるのもこれだ。   天空伏図。

前述の日影図ソフトは皆見上げで(見上図ではない)天空図を出してる。ちょっと考えれば当然である、日影を考察する為の画なのであるからそこには太陽軌跡が描かれるのが普通で、観察者の視点で(星図と同じ構図即ち見上げて)描かないと感覚としておかしなものとなってしまうのである。
という事で私は何の疑問もなく見上げて天空図を描いてしまったのだが、斜線(天空率考察)のための画としてはどうも不都合らしいのだ。配置図や平面図と並べてこの天空図を配置したとすると、見下げた画と見上げた画が隣接、これらの左右(又は上下)が反転する事になってしまい頭が混乱するのだ。

と言うことで、日影考察用には天空図であるが、斜線考察用には天空伏図が良いのだというのは理解できたが、
なんでこれを天空図と言うかなーーー。

で、日影図セットの天空図修正しないと。点日影時間を天空率検討用に流用するのは使用目的が違うから止めにして独立させる事に決定。天空図も反転しますからね。